カナダの語学留学業界に、大きな変化が起きています。
2026年9月、カナダの大手語学学校 EC EnglishとILACが相次いで閉校しました。長年にわたり世界各国から留学生を受け入れてきた有名校の突然の閉校は、学生や教育関係者に大きな影響を与えています。
背景には、カナダ政府による留学生受け入れ政策の変更や、語学留学市場の縮小があります。
今回は、2校の閉校の経緯とカナダの語学学校業界の現状、今後の留学先選びで知っておきたいポイントを紹介します。
1. カナダの大手語学学校2校が相次いで閉校
2026年9月、カナダの語学留学業界を代表する2校が、相次いで事業を終了しました。
EC English:9月14日にカナダの学校を閉鎖
EC Englishは、世界各地に語学学校を展開してきた国際的な教育機関です。カナダではトロント、バンクーバー、モントリオールなどに学校を運営していました。
2026年9月14日、カナダ国内の学校を運営していたEC Englishは、カナダだけでなく、世界各地で展開していた全25校の閉鎖を発表しました。同社は、カナダ、イギリス、アイルランド、マルタ、南アフリカ、アラブ首長国連邦(UAE)、アメリカの7か国で語学学校を運営していました。
閉鎖の理由として同社が挙げたのは、厳しい財務状況と追加投資の確保ができなかったことです。これにより、カナダ国内の留学生だけでなく、世界各国で学んでいた学生や、渡航を予定していた学生にも影響が及ぶことになりました。
ILAC:9月18日に事業停止
ILAC(International Language Academy of Canada)は、カナダを代表する大手語学学校の一つです。トロントやバンクーバーなどにキャンパスを持ち、30年以上にわたって世界中の学生を受け入れてきました。
しかし、2026年9月18日、ILACは破産保護を申請し、すべての授業とプログラムを即時停止しました。
学校側は、過去3年間にわたる経営上の困難に加え、教育業界に影響を与える大きな規制変更によって、経営を継続するための資金を確保できなくなったと説明しています。
長年の実績を持つ大手校の閉校は、カナダの語学留学業界が直面している厳しい状況を示す出来事となりました。
2. カナダの語学学校で学生数が減少
今回の閉校は、突然起きたものではありません。
カナダでは2024年以降、政府による留学生の受け入れ制限が導入され、語学学校業界も大きな影響を受けています。
語学学校の業界団体であるLanguages Canadaの調査によると、加盟校の英語・フランス語プログラムの受講者数は、次のように推移しています。
| 年 | 受講者数 |
|---|---|
| 2019年 | 150,112人 |
| 2021年 | 57,423人 |
| 2023年 | 112,564人 |
| 2024年 | 92,529人 |
| 2025年 | 81,636人 |
2024年には、前年と比較して受講者数が15%減少。さらに2025年も、比較可能な加盟プログラムでは前年比13%減となりました。
コロナ禍から回復していた語学留学市場は、2024年以降、再び縮小傾向にあります。
特に、2025年の受講者数は、コロナ禍前の2019年と比べても大幅に少ない水準です。
※上記はLanguages Canadaの加盟プログラムに関する統計であり、カナダ国内のすべての語学学校の在籍者数を示すものではありません。
3. 留学生受け入れ制限が語学学校に与えた影響
カナダ政府は、留学生の急増による住宅不足や公共サービスへの負担などを背景に、2024年から留学生の受け入れ数を制限する政策を導入しました。
その後も就学許可証の発給目標が引き下げられ、申請条件も変更されています。
こうした政策は、大学やカレッジだけでなく、語学学校にも影響を与えています。
特に、英語を学んだ後にカナダの大学やカレッジへ進学する「パスウェイプログラム」は、就学許可証の取得条件や州の認証書(PAL)の要件変更などにより、以前より利用しにくくなりました。
Languages Canadaの2024年の調査では、語学学校が直面する大きな課題として、ビザの不許可や移民政策の変更が挙げられています。
また、2025年の調査でも、移民・ビザ制度の変化が語学学校業界の受講者数減少に大きく影響したと報告されています。
留学生の受け入れ制限は、カナダ全体の留学生数を管理するだけでなく、語学学校の経営や学生募集にも影響を及ぼしているのです。
4. 閉校によって影響を受けた学生はどうなる?
今回の2校の閉校では、すでに授業を受けていた学生だけでなく、授業料を支払って渡航を待っていた学生も影響を受けました。
EC English Language Centerは、在校生や渡航予定者への大きな影響が生じており、各国の留学団体(Languages CanadaやEnglish UKなど)や加盟校が連携して、影響を受けた受講生の転校・受け入れ支援等の対応を進めています。
Languages Canadaでも、閉校した学校の学生が学習を継続できるよう、加盟校への転校支援を進めています。
同団体の2026年9月28日時点の発表によると、ILACとEC Englishの閉校で影響を受けた学生は、オンライン受講者や今後授業を開始する予定だった学生を含めて4,500人以上に上ります。
授業料が前払いされていた学生については、同団体の教育修了保証制度(eCAP)を通じて、原則として他の加盟校で同等の授業を受けられるよう調整しています。
ただし、この制度は授業料を対象とするもので、航空券やホームステイなどの費用まで保証するものではありません。
また、転校先の学校やプログラムによっては、就学許可証などの確認や手続きが必要になる場合もあります。
学校の突然の閉校は、学生の学習計画だけでなく、渡航や滞在の計画にも大きな影響を与えることが分かります。
5. カナダの語学留学は転換期へ
今回のILACとEC Englishの閉校は、カナダの語学学校業界が大きな転換期を迎えていることを示しています。
これまでカナダは、質の高い英語教育や多文化環境を求める留学生に人気の留学先でした。
しかし、留学生受け入れ政策の変更やビザ審査の厳格化、他国との競争などにより、語学学校を取り巻く環境は大きく変化しています。
Languages Canadaの報告でも、学生数の減少に加え、学校の運営規模の縮小や閉校が起きていることが指摘されています。
一方で、オンライン授業や大学・カレッジとの連携など、新しい教育モデルを取り入れる学校もあります。
今後は、単に留学生を多く受け入れるだけでなく、進学やキャリアにつながる教育内容や、安定した学校運営がより重要になっていくと考えられます。
6. これからカナダ留学を考える方へ
今回のニュースは、これからカナダへの語学留学を検討している方にとっても、学校選びの重要性を考えるきっかけとなります。
学校を選ぶ際には、授業内容や費用、立地だけでなく、次のような点も確認しておきたいところです。
- 学校の運営状況や経営基盤
- 認定・加盟団体への加入状況
- 万が一閉校した場合の授業料保護制度
- 大学やカレッジへの進学サポート
- 学校閉鎖時の転校や返金に関する規定
もちろん、認定団体に加盟しているからといって、閉校のリスクが完全になくなるわけではありません。
また、今回のように大手校であっても、経営環境の変化によって事業を継続できなくなる場合があります。
そのため、留学先を決める際には、学校の知名度だけでなく、万が一の際のサポート体制も含めて検討することが大切です。
まとめ:カナダの語学留学業界は新たな段階へ
2026年9月、カナダの大手語学学校であるEC EnglishとILACが相次いで閉校しました。
背景には、カナダ政府による留学生受け入れ政策の変更や、語学学校業界全体の学生数減少、経営環境の悪化があります。
2024年以降、カナダの語学学校業界は厳しい状況に直面しており、今回の閉校はその影響が表面化した出来事の一つといえます。
今後、カナダの語学留学は、これまでのような受け入れ拡大から、教育の質や進学との連携、安定した学校運営を重視する方向へと変化していく可能性があります。
カナダ留学を検討する際には、こうした業界の動向にも目を向けながら、自分の目的に合った学校を慎重に選ぶことが重要です。
お問合せはこちらから



