「最近、海外留学する日本人は増えているの?それとも減っているの?」
そんな疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
2026年5月、一般社団法人海外留学協議会(JAOS)が、2025年の日本人留学生数に関する調査結果を発表しました。
その結果から見えてきたのは、単純に留学する人が増えた、減ったという話だけではありません。海外留学のスタイルや、人気の留学先に変化が起きていることが分かりました。
今回は、最新の調査データをもとに、日本人の留学事情について考えてみます。
日本人の留学者数は約16万9,000人。でも、その内訳は?
JAOSの調査によると、2025年に加盟する留学事業者41社を通じて海外教育旅行や留学プログラムに参加した日本人は、合計168,931人でした。
一見すると、多くの日本人が海外で学んでいるように見えます。
ところが、内訳を見てみると、興味深い傾向が浮かび上がります。
- 学校や自治体などが企画する海外教育旅行:約13万8,400人
- 語学留学・ワーキングホリデー・正規留学などの個人留学:約3万500人
つまり、調査対象者の約82%が、学校や大学などの団体を通じた海外教育旅行に参加していたのです。
ここでいう海外教育旅行には、中学・高校の研修旅行や、大学・専門学校が企画する海外プログラムなどが含まれます。
一方、自分で留学先やプログラムを選び、語学留学やワーキングホリデーなどに参加する「個人留学」は、前年より大きく減少しました。
*JAOS、一般社団法人 海外留学協議会(Japan Association of Overseas Studies)に加盟する留学事業者を通じた調査による
個人留学は前年から約44%減少
今回、特に注目したいのが個人留学の数字です。
2024年の54,113人に対し、2025年は30,510人。前年と比べて約44%減少しています。
なぜ、このような変化が起きているのでしょうか。
背景として考えられるのが、留学費用の上昇や、留学生を受け入れる各国の政策変更です。
1. 円安や物価上昇で留学費用の負担が増えている
海外留学では、授業料だけでなく、住居費、食費、保険料、航空券など、さまざまな費用がかかります。
円安が進むと、現地での生活費や授業料を円に換算したときの負担も大きくなります。
留学したい気持ちがあっても、予算の面から期間を短くしたり、留学そのものを見送ったりする家庭があることも考えられます。
2. 留学生を受け入れる国の政策が変わっている
アメリカやカナダ、オーストラリアなどでは、留学生の受け入れをめぐる制度や政策が変化しています。
留学先を決める際には、授業料や学校の評判だけでなく、ビザの条件や申請手続きなども確認する必要があります。
こうした状況が、留学を検討する人の判断に影響している可能性があります。
3. 日本国内でも国際的な教育を受けられるようになっている
もうひとつ注目したいのが、日本国内の教育環境の変化です。
最近は、日本にいながら英語で学べるプログラムや、国際バカロレア(IB)、ケンブリッジ国際課程などを導入する学校もあります。
また、日本の高校に通いながら海外大学への進学準備を進めたり、海外の教育課程を組み合わせたりする選択肢も広がっています。
つまり、海外留学をしなければ国際的な教育を受けられない、という時代ではなくなりつつあるのです。
留学先にも変化!オーストラリアと台湾が上位に
今回の調査では、留学先にも興味深い傾向が見られました。
2025年の渡航先では、オーストラリアが32,727人で1位、台湾が28,618人で2位となりました。
オーストラリアは2年連続で1位。台湾も多くの参加者を集めています。
特に学校や自治体が企画する中学・高校の海外教育旅行では、台湾が人気の渡航先となりました。
台湾は日本から比較的近く、移動時間を抑えやすいことが魅力のひとつです。また、英語圏以外の国や地域で異文化を体験できる点も、海外教育旅行の選択肢として注目される理由でしょう。
そのほか、シンガポール、フィリピン、マレーシアなど、アジアの国々も存在感を高めています。
一方、中学・高校生の私費留学や交換留学では、ニュージーランドが人気を集めています。
この結果からは、留学先を選ぶ際に、英語圏であることだけでなく、費用、移動のしやすさ、安全面、受け入れ体制なども重視されていることがうかがえます。
これからの留学は「海外に行くこと」だけが目的ではない
今回の調査結果を見て、海外留学そのものの価値が下がっていると考える必要はありません。
むしろ、留学の選択肢が多様化していると考えられます。
例えば、次のような選択肢があります。
- 夏休みなどを利用して、短期間の海外研修に参加する
- 語学学校で英語力を集中的に伸ばす
- 海外の高校や大学に進学する
- 日本国内で国際的な教育課程を学び、海外進学につなげる
- ワーキングホリデーなどを通じて、語学と海外での生活経験を積む
どの方法が合っているかは、年齢や英語力、予算、将来の目標によって異なります。
大切なのは、留学すること自体をゴールにするのではなく、何を学び、どんな経験を得て、その後にどう生かしたいのかを考えることです。
留学を考えているなら、今こそ目的を明確に
海外留学を取り巻く環境は、以前と同じではありません。
費用やビザの条件はもちろん、国内で受けられる教育、海外で学ぶメリット、卒業後の進路なども含めて考えることが大切です。
短期間の語学留学で海外生活を体験したい人もいれば、海外の高校や大学で専門的な知識を身につけたい人もいるでしょう。
周囲の人が選んでいる国や、人気の学校だけで決める必要はありません。
自分に合った留学の形を見つけることが、充実した海外経験への第一歩です。
留学先やプログラム選びで迷っている方は、まずは「何のために留学したいのか」を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。
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