米国留学を検討している方に向けて、F-1学生ビザの滞在期間に関する重要な続報をお伝えします。
トランプ政権は2026年7月、留学生などの滞在期間を一定期間に区切る新しい制度を発表しました。従来の制度では、必要な条件を満たしている限り、在学期間に応じて米国に滞在できましたが、新制度では原則として最長4年間という上限が設けられる予定でした。
ところが、施行予定日の前日となる2026年9月14日、連邦地方裁判所が新制度の実施を一時的に差し止めました。
2026年10月13日現在、新制度は全米で実施が停止されています。 ただし、裁判が最終的に決着したわけではなく、今後の判断によって状況が変わる可能性があります。
今回は、制度変更の内容、裁判の最新状況、留学生への影響を整理します。
1.F-1ビザの滞在期間はどう変わる予定だった?
これまで、F-1学生ビザで入国した留学生の多くは、入国時に「Duration of Status(D/S)」として認められていました。
D/Sとは、学生が認められた留学プログラムに在籍し、必要な条件を満たしている間、プログラムの修了に向けて米国に滞在できる仕組みです。認められたOPT(卒業後などの実習制度)に参加する期間も、条件を満たせば対象になります。
例えば、大学の学士課程に4年以上かかる場合や、修士課程から博士課程へ進学する場合など、学習計画に応じて長期間滞在する学生にとって、D/Sは柔軟性のある制度でした。
しかし、米国国土安全保障省(DHS)が発表した新ルールでは、D/Sを廃止し、入国できる期間をあらかじめ定める方式へ変更することが計画されていました。
主な変更点は次のとおりです。
- 滞在期間の上限: 原則としてプログラムの終了日まで。ただし、最長4年間。
- 延長申請: 4年を超えて滞在する場合など、対象者は米国移民局(USCIS)への滞在延長申請が必要になる予定でした。
- 転校・専攻変更など: 教育機関の変更や追加のプログラムへの進学などについても、新たな制限が設けられる予定でした。
この制度はF-1学生だけでなく、J-1交換留学生などにも影響する内容でした。
なお、ここでいう「4年間」は、学生ビザのスタンプそのものの有効期間を4年にするという意味ではありません。米国への入国後に認められる滞在期間の仕組みを変更するものです。
2.9月14日、連邦裁判所が新ルールを一時差し止め
新制度は2026年9月15日に施行される予定でした。しかし、その前日の9月14日、マサチューセッツ州連邦地方裁判所は、新ルールの実施を一時的に差し止める判断を下しました。
訴訟を起こしたのは、NAFSA(国際教育関係者協会)やPresidents’ Alliance on Higher Education and Immigrationなど、大学・高等教育・労働関係の団体による連合です。
原告側は、政府が制度変更の費用や影響を十分に検討していないこと、一般から寄せられた意見への対応が不十分だったことなどを主張しました。
裁判所は、新制度の施行を延期する救済措置を認め、政府機関が訴訟の継続中に新ルールを実施することを禁じました。
その結果、当初予定されていた9月15日の施行は実現せず、従来のD/S制度が引き続き適用されることになりました。
今回の判断は、新ルールそのものを永久に無効にした最終判決ではありません。あくまで、裁判が続く間の一時的な措置です。
3.10月に入ってからの続報は?
今回の差し止めを受け、連邦政府は9月30日に控訴しました。
10月2日には、今後の訴訟手続きを協議するための期日が設けられました。政府側は控訴審を迅速に進める意向を示す一方、地方裁判所での手続きを一時停止することも求める考えを示しました。
これに対し、原告側は、地方裁判所で速やかに最終的な判断を進めることを求めています。
裁判所は、今後の手続きについて双方の意見を10月9日までに提出するよう指示しました。
10月13日現在、今回確認できた公表資料では、この期限後に新ルールの差し止めを解除する判断が出たことは確認できません。したがって、現時点では引き続き新制度の実施が停止されていると考えられます。
今後、控訴審や地方裁判所で新たな判断が出れば、留学生の滞在手続きに影響する可能性があります。
4.留学生への影響は?
今回の制度変更が実施されていた場合、特に影響が懸念されていたのは、4年以上の学習期間が必要な学生や、研究期間が長くなりやすい学生です。
例えば、次のようなケースが考えられます。
- 博士課程など、修了までに4年以上かかる可能性がある学生
- 研究の進捗によって修了時期が延びる学生
- 進学や専攻変更などを予定している学生
- J-1ビザを利用して交換留学や研究活動を行う人
新制度が導入されれば、対象となる学生は追加の申請手続きや費用に対応しなければならず、学校側にも事務負担が生じると懸念されていました。
ただし、現時点では新ルールの実施が差し止められているため、予定されていた新たな延長申請の仕組みや転校・専攻変更に関する制限は、まだ適用されていません。
留学生は、現在のF-1またはJ-1の規則に従って手続きを行う必要があります。個別の在留資格や渡航に関する判断は、所属校の留学生担当部署や移民法の専門家に確認することをおすすめします。
5.米国だけではない、留学生受け入れ政策の変化
留学生をめぐる制度の厳格化は、米国だけで起きているわけではありません。
カナダでも、留学生の受け入れ数を抑制する政策や就学許可に関する変更が進められ、教育機関や語学学校の運営環境に影響が出ています。
一方で、各国の制度変更には、それぞれ異なる背景や目的があります。米国のF-1・J-1制度の見直しと、カナダの留学生受け入れ制限を、まったく同じ政策とみなすことはできません。
米国政府は、新制度について、留学生などの滞在状況をより適切に管理し、制度の不正利用を防ぐことなどを目的として説明しています。一方、大学や教育関係団体からは、長期の学習・研究計画が立てにくくなることや、申請負担が増えることへの懸念が示されています。
留学先を選ぶ際には、授業料や学校の評判だけでなく、ビザ制度の変更や、修了までの学習計画への影響も確認することが重要です。
6.これから米国留学を予定している方へ
現時点では、F-1学生ビザのD/S制度は引き続き有効です。ただし、訴訟が継続しているため、今後の制度変更に注意する必要があります。
これから留学する方や、すでに米国で学んでいる方は、次の点を確認しておきましょう。
- 学校からの最新の案内を定期的に確認する
- I-20や在籍状況など、自分の留学に関する書類を適切に管理する
- 転校・進学・専攻変更・OPTなどを予定している場合は、早めに留学生担当部署へ相談する
- ビザの有効期限と、米国での滞在資格・滞在期間を混同しない
- 渡航や滞在資格に関する重要な判断は、最新の政府発表や専門家の案内を確認してから行う
制度が一時停止されているからといって、留学生に関するすべての規則が停止されているわけではありません。現在適用されている条件を守ることが大切です。
まとめ
トランプ政権が発表したF-1学生ビザなどの滞在期間を原則最長4年間に制限する新制度は、2026年9月14日に連邦裁判所によって一時差し止められました。
10月に入ってからは連邦政府が控訴し、今後の裁判手続きが続いています。現時点では従来のD/S制度が適用されていますが、今後の司法判断によって状況が変わる可能性があります。
米国留学を検討している方は、古い情報だけで判断せず、最新の制度や学校からの案内を確認しながら準備を進めましょう。
お問合せはこちらからどうぞ!



