アメリカの大学を卒業する留学生にとって、卒業後のキャリアを考えるうえで重要な制度の一つがOPT(Optional Practical Training)です。
ところが現在、このOPTをめぐって大きな動きが出ています。
2026年8月、トランプ政権が、アメリカの大学を卒業した外国人留学生がOPTを利用して米国内で働く場合に、10万ドル規模の費用を課す案を検討していると報じられました。
現時点では正式決定された制度ではありませんが、実現すれば、アメリカで学んだ留学生の卒業後の就職や、留学生を採用する企業に大きな影響を与える可能性があります。
OPTとは?
OPTとは、Optional Practical Trainingの略で、F-1学生が大学などで学んだ専攻分野に関連する仕事を、一定期間アメリカで経験できる制度です。
卒業後に利用する「Post-Completion OPT」では、F-1学生としての資格を維持しながら、専攻に関連した分野で実務経験を積むことができます。
特にSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の学生には、一定の条件を満たすことで、通常のOPTに加えて24か月のSTEM OPT Extensionが認められています。
つまりOPTは、単なる「インターン制度」というよりも、アメリカの大学で学んだことを実際の仕事につなげる重要なキャリアステップと言えるでしょう。
今回の「10万ドル案」とは?
今回報じられているのは、OPTを利用してアメリカで働こうとする外国人留学生に対して、10万ドル規模の費用を課す可能性です。
報道によると、誰がこの費用を負担するのか、どのようなケースに適用するのかなど、詳細はまだ固まっていません。
そのため、現段階で
「OPTを利用する学生は全員10万ドルを払う」
「企業が必ず10万ドルを支払う」
と断定することはできません。
しかし、もし高額な費用が実際に導入されれば、留学生の採用を検討する企業にとって大きな負担となる可能性があります。
留学生のアメリカ就職に影響する可能性
アメリカの大学を卒業した留学生にとって、OPTは卒業後の就職につながる重要なルートです。
特に、
- コンピューターサイエンス
- エンジニアリング
- データサイエンス
- 数学
- 金融
- その他のSTEM分野
などでは、OPTを利用してアメリカ企業で実務経験を積むことを目指す学生が多くいます。
企業側から見ても、アメリカの大学で教育を受けた人材を採用できることは大きなメリットです。
しかし、もし採用に高額な追加費用が発生するようになれば、
「そこまで費用をかけて留学生を採用するのか?」
という判断を企業側が迫られることになります。
その結果、企業によっては外国人留学生の採用を慎重にする可能性もあります。
H-1Bとの関係にも注目
OPTの先にある選択肢の一つが、専門職向けのH-1Bビザです。
OPTでアメリカ企業で働きながら経験を積み、その後、企業のスポンサーシップを得てH-1Bへの移行を目指すというキャリアルートは、アメリカで長期的に働きたい留学生にとって重要な選択肢となっています。
ただし、H-1Bについても現在、大きな制度変更が続いています。
2025年に導入された一部の新規H-1B申請への10万ドルの追加料金については、2026年に連邦裁判所で争われ、7月24日には連邦控訴裁判所が政府による執行停止の申立てを退けました。現在の状況は流動的で、今後も司法・政府双方の動きに注意が必要です。
なお、このH-1Bの10万ドル料金と、今回報じられているOPTへの10万ドル案は別の問題です。
アメリカの大学にも影響する可能性
今回の動きは、留学生本人だけの問題ではありません。
アメリカの大学にとって、留学生は重要な学生層です。
学費や研究活動、キャンパスの国際化など、留学生が大学にもたらす影響は大きく、卒業後のキャリアパスが狭くなれば、将来的にアメリカ留学を選ぶ学生の数にも影響する可能性があります。
また、シリコンバレーをはじめとするテクノロジー産業や研究分野では、海外から来た高度人材がアメリカの産業を支えてきたという側面もあります。
そのため、外国人留学生の受け入れを厳しくする政策は、アメリカ人労働者の雇用を守る一方で、大学や企業の人材確保に影響を及ぼす可能性があります。
「アメリカで学ぶ」だけでなく「卒業後」まで考える時代へ
今回のニュースから分かることは、これからのアメリカ留学では、「どこの大学に行くか」だけではなく、「卒業後に何ができるのか」まで考えて学校を選ぶことが、ますます重要になるということです。
特にアメリカの大学・大学院への進学を考えている方は、
✔ OPTが利用できる専攻なのか
✔ STEM OPTの対象になるのか
✔ 卒業生はどのような企業に就職しているのか
✔ インターンシップの機会があるのか
✔ 大学のキャリアサポートは充実しているか
✔ 卒業後のビザ制度がどのように変化しているか
といった点も確認しておきたいところです。
日本人留学生にも無関係ではありません
今回の政策案は、特定の国の留学生だけを対象にしたものではありません。
そのため、アメリカの大学への進学を考えている日本人学生にとっても、決して無関係な話ではありません。
「アメリカの大学を卒業して、そのまま現地企業で働きたい」
「STEM分野で専門性を身につけ、アメリカでキャリアを築きたい」
と考えている方は、今後のOPTやH-1B制度の動きを注視する必要があります。
現時点では「決定」ではありません
今回のOPTに関する10万ドル案は、2026年8月現在、正式決定された制度ではありません。
今後、政府による具体的な制度案の発表や、大学・企業などからの反応によって内容が変わる可能性があります。
アメリカの留学・移民政策は、近年大きく変化しています。
だからこそ、これからアメリカ留学を考える方には、入学時点の制度だけを見るのではなく、卒業後のキャリアまで見据えて留学計画を立てることをおすすめします。
当センターでは、大学・大学院選びから、OPTや卒業後のキャリアを見据えた留学プランについてもご相談いただけます。
アメリカ留学についてご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。



